京都の美容皮膚科、銀座美容クリニック京都本院の空間デザインを担当。クリニックの理念である「メイクアップよりベースアップ」を、空間の言語に翻訳したプロジェクトです。飾って美しく見せるのではなく、土台から整える。その治療方針を、色、素材、そして角の処理ひとつにまで通し、ディレクションからデザインまでを手がけました。
課題・背景
- 美容クリニックの空間は、白基調で無機質か、過剰に装飾的かの二極になりがちで、クリニックが掲げる理念が空間から伝わらないことが多い
- 肌の悩みや施術への緊張を抱えて来院する患者さんに、ドアを開けた瞬間から安心を届ける空間が求められていた
アプローチ
- 理念「メイクアップよりベースアップ」を空間コンセプトに翻訳し、自然で穏やかなベージュトーンを基調に設計した
- 診療室や処置室など部屋数が多く、角が生まれやすいクリニック空間に対し、壁角・建具・棚・家具にRを通して全体をやわらかく調和させた
クライアントについて
銀座美容クリニック京都本院は、京都を拠点とする美容皮膚科クリニックです。掲げる理念は「メイクアップよりベースアップ」。化粧で覆い隠すのではなく、肌そのものの土台を健やかに整えることを治療の軸に据えています。
その考え方は、派手な変化を約束するのではなく、一人ひとりの肌と向き合い、内側から整えていくという診療姿勢に表れています。
Point 1|「メイクアップよりベースアップ」を、空間に翻訳する
理念を壁に掲げるだけでは、空間は変わりません。このプロジェクトで最初に決めたのは、理念をそのまま空間設計の判断基準にすることでした。
足して飾るのではなく、土台を整える。その思想に従い、装飾で主張する要素を削ぎ、自然で穏やかなベージュトーンに全体を揃えました。素肌のような色の空間は、これから肌を整えに来る患者さんの気持ちと静かに重なります。クリニックの治療方針を、来院した瞬間に言葉なしで感じ取れる。それがこの空間の役割です。
Point 2|角を、ひとつずつ丸めていく
クリニックは、診療室、処置室、カウンセリングルームと部屋数が多く、そのぶん壁の角が生まれやすい建築です。角が多い空間は、どうしても緊張感を帯びます。
そこで壁角にRを取り入れ、建具や棚、家具の造作にも同じRを通しました。ひとつひとつは小さな処理ですが、空間のすべての角が同じ曲線で揃うことで、視界のどこにも尖りがない、やわらかい連続性が生まれます。施術を前にした患者さんの緊張を、空間の側からほどいていく設計です。
Point 3|整った空間は、整った肌に似ている
このプロジェクトで目指したのは、印象的な空間ではなく、整った空間です。
色はベージュのグラデーションの中に収め、素材の質感と光のトーンを揃える。どこか一箇所が目立つのではなく、全体が調和している状態をつくる。それは、この医院が目指す「土台から整った肌」の在り方と同じです。空間そのものがクリニックの思想を体現し、ここで受ける治療への信頼につながっていく。ブランドと空間が一枚につながった仕事になりました。